抄録
クリストーバル・コロンやアメリゴ・ヴェスプッチらの探検・航海により、あるはずのない場所(南半球)から未知の大陸が出現し、アジア・アフリカ・ヨーロッパという3つの部分からなるヨーロッパの伝統的な世界概念は崩れ去った。よって、世界の第四部分・新世界・アメリカと呼ばれた地域は、新奇・異質・異様・驚異といった観念と共に登場したことになる。先住民には、強い他者性が付与されて歪んだ眼差しが向けられ、裸体・羽毛装飾・食人・異様に豊かな富などが、新世界表象を代表する要素・記号と化していった。本報告では、これらの中からオウム・羽毛を取り上げ、内奥に潜むヨーロッパにおけるその意味を確認して新世界表象の背景を捉え直した。また、オウムがアンデスの脂取り魔の呼称と化していることを指摘した。
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