抄録
I-O分析のための情報の源泉は産業連関表そのものである。日本の産業連関表はその精度と詳細さにおいて世界の卜ップランクにあることは周知の事実。政府は今年5月昭和60年の産業連関表を発表し,日本経済の生産構造の全貌について,最新の情報を発表した。この「親表」を基礎にして61年から63年に至る構造変化の概略を示す「延長表」も更新される予定である。今回の60年表は日本経済がかかえるいくつかの主要な問題点を示している。55年表に比べるとまず著しい貿易の黒字体質が現れた。一方消費構造のハイテク化とサービス化は目覚しく,輸出構造の機械化,ハイテク化も顕著となった。これは同時に今日の貿易摩擦の不吉なる予兆でもある。