抄録
地球温暖化問題解決のための二酸化炭素(COz)排出削減対策の1つに技術革新が挙げられる。そこで本稿は,日本と中国を対象事例としてプロセス革新およびプロダクト革新による潜在的なスピルオーバー効果を測定し,技術革新によるCO2排出削減の産業部門への波及効果を分析した。その結果,産業部門によって革新の多様な影響力が存在すること,中国は日本に出べてスピルオーバー効果が大きいことなどが試算された。先行研究で指摘されているような限界削減費用の安さだけでなく,波及効果の観点からも中国における技術革新や技術移転の潜在的な有効性を示しているといえる。