抄録
平成7年都道府県産業連関表を全国表および経済産業省の地域表と出較し, その精度について検討した。全国表,地域表,都道府県表では概念の相違に基づく差違があるものの,全国表の生産額に対する都道府県表集計値の乖離率は2.99%で,平成2年表の時と比較すると小さくなっている。地域的には関東地域で8.28%と最も乖離が大きく,その他の地域では東北地域を除いて3%を下回る。輸移出入については経済産業省の地域表との乖離額は関東地域の割合が大きく, 平成2年表の傾向と大きな変化はない。また,どの地域も,生産と中間投入,付加価値の部門別乖離率には正の関係があり,中間需要,域内需要と純輸移出の間には負の関係がみられる。さらに地域表の輸移出(入)と県表合計値との間に整合性のとれていない部門もあることがわかった。いくつかの改善点はあるものの,全体として精度は向上しており,地域産業連関表が多方面で活用されることが望まれる。