産業連関
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フィリピン地域間産業連関表を用いたエネルギー効率改善による環境負荷軽減の効果に関する分析
川島 啓内山 洋司
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2004 年 12 巻 2 号 p. 39-49

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抄録

環境負荷低減を目的とした産業部門の技術変化は波及的な影響を地域経済にもたらす.特に都市と地方とでは移出入を通じてさまざまな波及経路が存在し,一国の全体の環境負荷に対してどのような効果が現れるかは地域間の産業構造に大きく依存している.本論では筆者らが参加したJSPS「メトロマニラの環境保全」プロジェクトで開発された1994年フィリピン地域間産業連関表(PIRIO)を用いて,フィリピンにおける環境負荷軽減を目的としたエネルギー効率改善に伴う波及的な効果をシナリオ別に推計した.推計に先がけて,PIRIOの部門分類に対応した燃料種別エネルギー消費量,CO2,SO2,NOX排出量データベースを別勘定で作成した.シナリオでは,同等のエネルギー消費量を削減するための効率改善をマニラ首都圏(NCR)とその他の地域(ROP)におけるそれぞれの電力部門と道路輸送部門で行った場合の波及的な影響を試算している.分析では,それぞれの地域における技術導入が異なる環境負荷影響をもたらすことから,地域間影響を考慮した技術導入のあり方を検討した.

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© 2004 環太平洋産業連関分析学会
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