何かと日本と比較されることが多いドイツ,環境先進国と評されるドイツ,本稿ではその二酸化炭素排出事情をエネルギー消費の観点から探っている.まず二酸化炭素排出構造を日本と比較しつつ考察した後,日本と大きく異なる最終需要から直接排出されている二酸化炭素の背景を検討している.さらに発電部門と,二酸化炭素排出の多いその他の一般生産部門でのエネルギー消費構造を検討し,発電部門以外で生じているガス化について触れている.これらの検討の上に最後に,産業連関表を用いた完全要因分解分析によって,ドイツで生じている石炭・褐炭からガスへというエネルギーシフトが,二酸化炭素の削減に大きく寄与していることを明らかにしている.