産業連関
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京都議定書と効率的な資源利用の関係:日中経済を対象とした国際産業連関線形計画モデルによる接近
加河 茂美五味 哲也
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2005 年 13 巻 2 号 p. 16-31

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抄録
本研究では,日本の京都議定書目標を達成するためのCO2排出規制が日本と中国における社会厚生,貿易利得,競争価格に与える影響を定量的に検証した.その結果,CO2排出量を京都議定書目標値に規制することによって,社会的に効率的な資源再配分メカニズムを通して,1,090~2,189億ドル(日本円で約10~20兆円)程度の活動レベルが日本から汚染避難国である中国に移ることが明らかとなった.日本にとってはその分経済損出につながるが,京都議定書目標値を考慮するとき日本の環境効率性は大きく改善されている結果となった.また興味深いことに,日本からの生産活動の移動に伴い,汚染避難国である中国の環境効率性は低くなることが予想されるが,分析の結果,中国の環境効率性は逆に大幅に改善されていることが明らかとなった.
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© 2005 環太平洋産業連関分析学会
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