抄録
近年の原油高騰を受けて,2006年3月16日に主要8か国エネルギー担当大臣会合がモスクワで開かれました.その議長声明では「安定的なエネルギー供給が世界経済の発展に重要な役割を果たす」と強調されました. 原油価格は,1991年の湾岸戦争時を例外として,1980~90 年代は比較的安定的に推移してきました.しかし2000年になると,原油価格は上昇に転じ,直近(2006年4月末)では1バレル70ドルの歴史的な高値になっています.石油ショック以来,資源節約技術の開発に努めてきた日本経済ですが,このまま原油価格高騰が続けば,好調な日本経済に水を差すことになります.そこで本稿では,OECD 産業連関表データベースを用いて,先進工業国で,輸入天然資源の節約がこの30年間にどの程度進んだのかを,いくつかの側面から検討してみることにします.