抄録
京浜工業地帯に位置し,工業県として知られるが,近年製造業の「空洞化」に悩む神奈川経済の構造変化を分析する.その際に,全世界的に展開する大企業の活動と比較的地域に密着した中小企業の活動は同じ産業でも異なるという仮説のもと,一般機械,電気機械,輸送機械の大企業と中小企業を分離した神奈川県規模別産業連関表を1985年から2000年まで5年おきに作成した.産業構成比変化や特化係数による全国表との比較,移出入・輸出入の検討によって神奈川県の製造業の動向を分析した.地域内の産業ネットワークの変化を規模別に見ることで,産業構造の変化が地域内での産業同士のやり取りにも影響を与えていることを明らかにする.