抄録
我が国の本格的な国連SNA の導入は,68SNA 以降だが,導入内容に関しては93SNA に焦点を当てた.68SNA は5勘定を全面統合した一般均衡体系で,いわばストーンによる完成版であった.5国際機関を中心とする93SNA は,68SNA の理論的側面を維持し,68SNA 後の経済社会の変化に対応した各種の工夫を盛り込み,かなりの改訂規模となった.改訂内容は理論的に検討を要する課題も残るが,93SNA の大きな特徴は,拡大主義にある.項目の数え方にもよるが,全面導入が45項目,一部導入が22項目,未導入が33項目であった.一部導入・未導入の最大の理由は,基礎統計の制約にあった.他方,2007年に統計法が改訂され,SNA の基幹統計への格上げ,統計委員会の設置となった.SNA の経済統計上の役割が大きくなり望ましいが,それだけSNA と経済理論との関係が重要となる.