抄録
最近の日本においては,国民経済計算や産業連関表を中心とする包括的な経済統計の信頼性の向上のため,それらの推計方法や相互の関連について改革を 進めることの必要性が認識されている.とくに経済センサスの活動調査が 2011年を対象に初めて実施されることを受け,国民経済計算,産業連関表ともに推計の枠組みから見直すことが必要となっている.このため本稿では,国際 標準であ る国連の基準と日本の現行体系を比較し,主要国の経験を参考にしつつ,日本における改革の方向を探ることを目的とする.第1節で は国連の産業連関表の枠組みを概観する.第2節では日本の国民経済計算における産業連関表の取り扱いについて述べる.第3節では日本の産業連関表基本表と 国民経済計算および国際基準との関係について述べ,第4節では主要国の産業連関表について,国民経済計算との関連を中心に概観する.最後に結論を簡単に述べる.