産業連関
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【特集スラッファ経済学特集】
スラッファ価格によるマルクスの分析*)
シェフォールト ベルトラム
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2010 年 18 巻 3 号 p. 17-32

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抄録

発展した資本主義的諸関係のもとで生産された諸商品の価格は,長期的平均では,これらの商品のうちに技術的生産物として体化した労働時間,つまりそれらの 商品の労働価値に比例するという仮説を,労働価値説と理解するならば,偉大な巨匠であるスミス,リカードウ,マルクスのいずれもが,労働価値説を真とは考 えなかったことになる.その一方,ある商品の長期的平均価格を,その商品のうちに体化した労働時間と数学的に関連づけようとする試みとして,労働価値説を 理解するならば,新古典派の創設者であるマーシャルでさえも,労働価値説の信奉者ということになる.混乱を避けるために,以下で労働価値説という場合に は,たえずマルクスの価値論が念頭に置かれる.そこでは,いわゆる転形問題が関わってくる「量的側面」は,いくつかある側面の1つに過ぎない.本稿では,生産価格と労働価値との関係が,ピエロ・スラッファにならって展開される.(原著「マルクス経済学とネオ・ケインジアンの蓄積論 における価値と価格」*)の序文)

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© 2010 環太平洋産業連関分析学会
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