抄録
労働者派遣法は昭和61年に施行されて以来,労働者を派遣可能な業務の範囲が拡大されてきており,平成20年度には派遣労働者が200万人弱に達した産業連関表において労働者派遣サービス部門は所有者主義として扱われている.このため,ある部門において直接雇用の労働者から派遣労働者に雇用形態が変わることにより,必要な労働力に変化がなくとも労働生産性が高くなる.本論文では労働者派遣サービス部門を使用者主義として扱うことにより,派遣労働者に係る雇用形態の変化による影響を排除した.その結果,物の製造業務への派遣が可能となった平成17年には製造業の労働生産性における所有者主義と使用者主義の乖離が4%程度となっていることが明らかとなった.