2016 年 24 巻 1 号 p. 14-34
国際的なサプライチェーン・アウトソーシング・垂直貿易の進展による世界的規模の中間財貿易興隆を背景にして,WTO・OECD等の国際機関はこの数年間に共同してグローバル・バリューチェーン論すなわち付加価値貿易論の急成長を先導してきた.粗産出・粗輸出から付加価値への視点転換は,新たな器のもとに,産業連関分析の世界的なルネッサンスをもたらした.この連載では,付加価値貿易論のABC から進んだ応用にいたるまで順次平易に説明する.付加価値貿易論は,専門家の間でも十分に確立した領域ではないので,解説とはいえ,筆者のレンズを通してみた見取図提供の試論であることをあらかじめお断りしておきたい.