2018 年 26 巻 1 号 p. 1-20
「地方創生」を推進するにあたって,客観的データや指標に基づき現況分析や将来予測を行って政策を策定し,自ら効果の検証をすることを政府は市町村に求めている.しかし市町村レベルの統計情報や分析ツールは限られている.そこで本稿では,2005年189部門愛知県内全市町村間産業連関表を作成し,愛知県内の乗用車産業を事例に市町村別経済波及効果と依存度の測定や,地方創生関連事業であるプレミアム付き商品券の空間的経済波及効果を分析した.これらの事例分析を通じて,同一都道府県内全市町村間産業連関表は課題が残るものの一定の有用性が示された.提案した作成手法は簡易な作表を可能にするため市町村レベルの産業連関分析の普及に寄与するものだと考えられる.