2019 年 27 巻 1 号 p. 26-38
本社機能活動が集積する東京は,国内他地域に配置された支社や工場などの直接的な生産現場活動を統括するかたちで利益が集中する構造にある.このメカニズムを定量的に捉えるために,本稿では産業連関分析を行う.産業連関表は,直接的な生産現場活動の中間財として本社サービスを捉えることに適している.また本社機能活動は,本社が配置された東京と支社や工場が配置された国内他地域との地域間取引が中心となるため,東京都産業連関表では東京都とその他地域の2地域間表として本社部門が計上されている.その他地域に含まれる各地域の本社機能活動は不透明であるため,本社機能活動が特に集中している関東地域において,各地域内表の本社部門の推計と分析を試みる.