2019 年 27 巻 1 号 p. 14-25
循環型地域づくりの取組が地域活性化に寄与することを実証するため,宮城県南三陸町における関係施策の経済効果を地域産業連関表の応用により分析する.平成25年南三陸町産業連関表を作成し,中核的施策であるバイオガス事業につき部門を新設して効果を推計するとともに,これと一体的に進められる農産品ブランド化と産業観光の効果を含めた総合的な効果を推計する.廃棄物処理の域外依存の低減,農業,宿泊等の基盤産業における移輸出の増加等を通じ,幅広い部門で生産が増加することが確認される.環境基本計画が掲げる「地域循環共生圏」が,研究例の多いエネルギー自給の側面のみならず資源循環の側面でも地域活性化に資することを示しており,特に基盤産業と連動させた取組が有効であることを示唆している.