抄録
日本経済のハイテク化の中心となった産業用ロボットは, 1980年代にその量と質の両面で飛躍的な拡大を遂げ,日本の生産構造を革新したばかりでなく,抜群の国際競争力を築き上げて,貿易黒字の定着化をもたらした。以下この産業用ロボットとその関連する技術分野の具体的事例を挑めながら, 1990年代に予想される技術革新を展望し,メカトロニクス革命の行方――とくに「ロー・エンド・マーケット」での新製品から,通信ネットワークとの融合を通じての「テレロボティックス」やマイクロマシンへ向う技術革新の進化の方向を探ってみよう。