2024 年 31 巻 2 号 p. 31-37
従来,我が国の産業連関表と欧米諸国のSUTが異なっていた理由の一つは,その基礎となる産業統計が欧米諸国とそもそも異なっていたからであった.そのため我が国において産業連関表からSUTへの移行するためには,我が国の産業統計を欧米諸国のそれを参考に変えていくことが必要であった.2012年には経済センサス―活動調査が開始され,これまで十分でなかったサービス産業のデータが大幅に拡充された.2019年には経済構造実態調査が開始され,それに伴い経済産業省「特定サービス産業実態調査」,「商業統計調査」が廃止された.2022年には工業統計調査も「経済構造実態調査」に包摂された.産業連関表からSUTへの移行は,こうした産業統計の再編があって始めて実現することになる.