産業連関
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31 巻, 2 号
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講座
  • 植松 良和
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 1-7
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/08/01
    ジャーナル フリー

     SNA(国民経済計算)においては,SUT(供給・使用表)は,生産物とそれを産出する産業の関係を示す「供給表」と,産業の中間投入・付加価値と生産物の中間消費・最終需要を記述することで支出側と生産側のGDP推計の整合性を確保する「使用表」から構成される.我が国の政府は近年,産業連関表のSUT体系移行に向けて産業連関表等の見直し作業を進めており,本稿ではその背景を解説する.

  • 植松 良和
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 8-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/09/16
    ジャーナル フリー

     従来から,供給・使用表は推計されていたが,2020年を対象とする基準年から,産業連関表と供給・使用表については大きく見直すこととされた.この見直しの背景としては,これまでの産業連関表のサービス部門については,現実として投入推計が難しい場合がみられていたことがあげられる.本稿では,このような見直しの背景となる,統計単位や部門の関係,基礎統計を用いた基本的な推計方法について,作成担当者の立場から説明する.

  • 宮川 幸三
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 19-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/10/27
    ジャーナル フリー

     供給・使用表(SUT)は,供給ベースの分類基準に基づく産業分類と,需要ベースの分類基準に基づく生産物分類を基礎として推計されることが望ましい.本稿では,SUTにおいて重要な役割を果たす産業分類および生産物分類について,両者の違いは何か,なぜ2種類の分類体系を併用する必要があるのか,といった点を解説したうえで,日本のSUTに適用される日本標準産業分類および新たに構築された生産物分類の概要を紹介する.

  • 菅 幹雄
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 31-37
    発行日: 2024年
    公開日: 2023/11/02
    ジャーナル フリー

     従来,我が国の産業連関表と欧米諸国のSUTが異なっていた理由の一つは,その基礎となる産業統計が欧米諸国とそもそも異なっていたからであった.そのため我が国において産業連関表からSUTへの移行するためには,我が国の産業統計を欧米諸国のそれを参考に変えていくことが必要であった.2012年には経済センサス―活動調査が開始され,これまで十分でなかったサービス産業のデータが大幅に拡充された.2019年には経済構造実態調査が開始され,それに伴い経済産業省「特定サービス産業実態調査」,「商業統計調査」が廃止された.2022年には工業統計調査も「経済構造実態調査」に包摂された.産業連関表からSUTへの移行は,こうした産業統計の再編があって始めて実現することになる.

  • 鈴木 俊光, 時子山 真紀
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 38-47
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/23
    ジャーナル フリー

     SUT バランシングとは,供給・使用表(SUT)の枠組みに基づき,それぞれのアプローチ,段階ごとの推計結果を突合し,調整する方法のことである.当該手法を用いることで,いわゆる統計上の不突合を解消又は縮小させることができる.統計上の不突合は,発生原因が様々であり,構造的な要因だけでなく,偶発的な要因によっても発生するため,絶対的なバランシングのルールや規則というものは,そもそも存在しない.一方で,SUT バランシングについて,国民経済計算体系の推計精度を累積的に改善するためのシステムとして捉えるならば,系統だった方法でバランシングを行うことが重要となる.本章では,Eurostat(2008)および国際連合(2019)などを参考に,バランシングの前提条件,体系,手順,具体的な方法などについて解説する.

  • 萩野 覚
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 48-60
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/23
    ジャーナル フリー

     経済のグローバリゼーションが進む中で,グローバルバリューチェーンの実態を明らかにする付加価値貿易(Trade in Value Added,TiVA と呼称される)指標が注目を集めている.付加価値貿易は,国際貿易における各国の貢献を付加価値で測るものであり,貿易統計や国際収支統計とは異なった視点を提供する.OECD は,産業×産業の国際産業連関表の開発を行っており,これを用いて付加価値貿易指標を作成している.国際産業連関表は,主要国の産業連関表を国際財貨貿易・サービス貿易統計を用いて連結する形で作成されるが,欧州諸国等のように産業連関表を直接作成していない国では,同表は,供給使用表から産業連関表が派生的に作成されている.

  • デジタルSUT開発の試み
    牧野 好洋
    原稿種別: 講座
    2024 年31 巻2 号 p. 61-76
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/23
    ジャーナル フリー

     デジタルSUT は,デジタル経済に関連深い深い産業や生産物,取引を供給・使用表のなかに位置づけ,それらの規模のみならず,デジタル経済の構造や非デジタル経済との関係などを体系的に把握する統計表である.同表により,デジタル産業・非デジタル産業によるデジタル生産物・非デジタル生産物の供給や使用,各取引におけるデジタル注文・非デジタル注文の状況などが明らかになる.

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