抄録
21世紀を目前に控えて,ポスト冷戦期の技術と経済をめぐる国際競争はどのような性格のものに変貌していくのであろうか。もはや人工的な主権国家の国益中心の技術競争,一種の富国強兵型のテクノヘゲモニーからもっとボーダレスな,しかも身近なライフスタイルとコミュニティーに根ざした技術革新をめぐる競争の時代に入りつつあるのではないか。筆者はこれを「テクノスタイル」を目標とする時代と特徴づけ,近代の産業革命を推進したアングロサクソン型テクノヘゲモニーの時代の終末を予言する。以下,近代史のドラマの変転のなかから21世紀の技術革新の核心をとらえてみよう。