抄録
PET繊維にポリ塩化ビニル(PVC)樹脂を接着したターポリンは、今後老朽化した建物の建替等に伴い大量に廃棄されると予想され、強固に接着したPVC樹脂の分離が困難であり、材料リサイクルについて有効な手法がなく、埋立処理を行っている。そこで本研究では、PVCを溶解する良溶媒を用い、PVC樹脂(可塑剤を含む)とPET繊維の分離回収を検討し、さらにPVCの貧溶媒を用い、PVCと可塑剤の分離回収を検討した。PVCの良溶媒にテトラヒドロフランを用いた場合、20 ºC 30 min.において72.0 %と高い溶解率[試料組成(PVC:PET = 70:30)]を得られ、PET繊維に影響を与えずに分離回収が可能だと考えられる。またPVCの貧溶媒にエタノールを用いた場合、PVC回収率97.2 %、及び可塑剤抽出率99.5 %と高い値を示し、PVCは固体として、可塑剤はPVCの貧溶媒に抽出されると考えられる。