2020 年 2 巻 p. 5-12
本研究は,オレムーアンダーウッドのセルフケアモデルをもとに,精神障害者の地域生活を促進するためのセルフケアへの看護介入の実態,課題について研究論文の検討を行った.精神障害者の地域生活促進のためのセルフケアに関する研究は多かったが,オレムーアンダーウッドのセルフケアモデルを用いてセルフケアへの看護介入に焦点をあてた研究論文は少なく国内で 10件,国外で3件だった.調査研究のいずれも,精神障害者の地域生活を促進するためには,「生活の基盤を作り」「生活を営み」「生活の質を高める」ためのセルフケア行動への介入が必要であることを示していた.また長期入院予備軍には人格機能に介入をしてセルフケアの意図的過程を展開する PAS-SCT(Psychoanalytic Systems Theory based Self Care Therapy,以後 PAS-SCT)アプローチがセルフケア看護介入の可能性を示していた.さらに精神障害者のセルフケア測定のための質問紙は開発されていたが,セルフケア看護介入技法を測定するツールは皆無であった.今後精神障害者の地域生活を促進・維持していくための精神障害者の特徴に応じたセルフケア看護介入理論と技法を構築していく必要性が示唆された.