別冊パテント
Online ISSN : 2436-5858
キャラクターに対する不正競争防止法による新たな保護の可能性
ドイツの長くつ下のピッピ事件を契機として
茶園 成樹
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2023 年 76 巻 29 号 p. 1-14

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抄録

 キャラクターの保護には様々な法律が関わるが、不正競争防止法に関しては、裁判例では、キャラクターの商品化事業が行われている場合に、キャラクターの図柄や名称が商品等表示に当たるとして、2条1項1号・2号による保護が認められている。本稿は、ドイツにおける最近の長くつ下のピッピ事件を契機として、不正競争防止法による新たな保護の可能性を検討するものである。

 成果保護の観点から、同項3号による保護について検討するに、同号はキャラクターの保護方法として適しておらず、また、その構造に照らせば、法改正により、同号を基礎としてキャラクターの保護に適合した規定を新設しようとすることも成功しそうにない。次に、名声の利用・毀損の観点から、2号による保護について検討するに、同号を基礎として、商品等表示としての使用の要件を削除し、そのような使用ではなくても不正競争が成立するように改め、その一方で、名声の不当な利用・毀損を要件として明定するとともに、規制を及ぼすべきでない場合について検討し、そのような場合を適用除外規定の対象に含めるようにすべきであろう。

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© 2023 日本弁理士会
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