抄録
アパタイトセメントは焼結体アパタイトに比較して骨芽細胞分化促進能に優れることがわかっている。本研究においてはその機序に関する知見を得ることを目的にアパタイトセメントおよび焼結体アパタイトの細胞培養液中での挙動を検討した。アパタイトセメントを細胞培養液中に浸漬すると細胞培養液中のカルシウムイオン及びリン酸イオンが減少し、アパタイトセメント表面に骨様アパタイトが析出した。一方、焼結体アパタイトではカルシウムイオン及びリン酸イオンの減少が限定的であった。骨様アパタイトの形成が骨芽細胞分化促進能に関与している可能性が示唆された。