抄録
ナノインデンテーション法における除荷曲線はヤング率評価に用いられるが, それはインデントされた材料のヤング率ばかりでなく, ポアソン比, 降伏応力, 角錐状圧子の先端形状やヤング率などにも大きく影響を受ける. 特に後者による影響は既存の解析方法, 例えばOliver&Pharrの方法, では十分に補正しきれないのは明らかである. 本研究では, 既存の解析方法では対応できない幾つかの問題点を指摘し, 有限要素法を用いた圧子圧入のシミュレーションを通して, ナノインデンテーション法の除荷曲線からヤング率を妥当に評価できる解析方法の開発を試みる.