抄録
窒化ケイ素や炭化ケイ素など、シリコン系セラミックスをガスタービン部材として応用する場合、高温における酸化とともに水蒸気腐食による損耗が問題として生じる。シリカについて調べられた高温水蒸気腐食の例では、腐食速度は水蒸気分圧の二乗に比例する。したがって、20% ほどの高い水蒸気分圧で高速気流に晒されるガスタービンの燃焼場では、高温水蒸気腐食による損耗が顕著に生じると予測される。さらに、腐食量はアレニウスの式に従うため、次世代ガスタービンの開発に伴うタービン入り口温度の上昇は、水蒸気腐食量を指数関数的に増加させることとなる。よって、シリコン系セラミックスのガスタービン部材への応用に際しては、耐水蒸気腐食層のコーティングが必要となる。本研究では耐水蒸気腐食層の候補材料をいくつか選定し、1500℃における耐水蒸気腐食性を調べた。