抄録
触媒化学気相成長(Cat-CVD)法は、メートルサイズの大面積にプラズマを用いることなく高速に薄膜を形成可能な手法であり、ガスの利用効率も高いことから省エネルギーにも資することが期待されている。従来は300℃程度以下の基板温度で高品質薄膜を形成可能な方法として知られてきたが、最近では室温から100℃程度の低温でも緻密な薄膜を得ることが可能になり、プラスチックフイルムや繊維の高機能化を図るためのコーティング技術としても注目されるなど、その応用分野も半導体・フラットパネルディスプレイ産業のみならず、化学、セラミックス、精密機械など種々の産業に拡がりつつある。本講では、Cat-CVD法の製膜原理から応用にいたるまでを、最新動向を交えつつ紹介する。