抄録
酸化チタン系ナノ材料は顔料や電子材料等に広く用いられており、近年では、光触媒や色素増感電池用材料としても注目されている。特に、最近では水熱処理を行うことによりナノチューブあるいはナノファイバー状の材料が得られることも報告されている。我々は、最近、天然ルチルを原料としてアルカリ溶液中での直接水熱処理を行うという新しいプロセスにより、高温硫酸処理や塩素処理等の従来の原料中間精製段階を経ずに、ナノファイバー等の1次元ナノ材料を合成することに成功した。原料精製プロセスと形態付与プロセスを同時に行うことで、従来プロセスに比べて格段に低コスト・低環境負荷での材料合成が可能となった。本発表では、得られた酸化チタン系ナノ材料の特性について報告する。