抄録
調合組成(Ba1-xCax)(Sc1/2Nb1/2)O3 (0 < x < 1.0)であるセラミックスディスクの生成相とマイクロ波誘電特性の研究は、我々の既往の研究(J. Ceram. Soc. Jpn2004)との対比による再調査と発展の途中である。xの固溶限界は、この立方晶ペロブスカイトのx対格子定数の基準の関係上より0.8として異常に広い。この値は、我々の既報にて0.5より大きいとされ、そしてそれは様々な(Ba1-xCax)BO3の報告された系で約0.25であることを考慮すると信じ難いほどに大きい値である。本研究の焼成温度を既往の研究の1650℃より1700℃に高くしたことは0.5から0.8の間で増加することを説明できない。この先、この系の生成相が通常のセラミックス合成の工程の小さな変化によりはっきりと影響を及ぼされるということが明らかにされるであろう。このセラミックスの比誘電率(εr)はxが0の時、35.7である。この値は、x=0.25の時の55.5の頂点までxと共に直線的に増加し、そしてその先xの増加と共に減少する。この系のεrとxとの関係は、(Ba1-xCax)(Mg1/3Ta2/3)O3系と同様である。けれども、この二つの系の顕著な違いは、結晶中の原子の配列によるεrの減少とCa2+イオンの活発によるεrの増加の間の交差する点の構想の基準の上で議論される。