抄録
pH 7, 8.5, 10.5、CO2ガスバブリング下、あるいは非存在下において炭酸イオン含有アパタイトを調製した。X線回折分析法において、CO2ガスバブリング下、pH 8.5, 10.5では主として炭酸カルシウムが生成した。一方、CO2ガス非存在下ではすべてのpHでアパタイトの回折パターンのみが観測された。これらのサンプル(CO2ガス非存在下で調製)中の炭酸イオン量はpHの増加とともに増加し、また赤外分光法により炭酸イオン量の増加はOH置換型のアパタイト構造内炭酸イオン種の生成をともなうことが示された。牛血清アルブミン(BSA)の吸着等温線はLangmuir型に従い、構造内炭酸イオン量の増加にともない飽和吸着量は減少した。この結果より、OH置換型炭酸イオン種の生成がBSA吸着サイトであるOH空隙を減少させることが示唆された。