抄録
Si3N4やMgOなどの構造セラミックスにおけるクラック進展挙動について、透過型電子顕微鏡(TEM)内その場破壊実験および各種理論計算法を用いた研究を行った。その場破壊実験によるクラック破面をHRTEMで詳細に解析し、クラック進展方向およびその破面微細構造からクラック進展時のエネルギー開放メカニズムについて検討した。Si3N4では、理想的なへき開破壊として予測される原子レベルで平坦な破面が観察されたが、MgOでは特徴的なステップを数多く有する破面が生成された。このようなMgO破面生成の起源は、クラック先端での転位生成と主クラックー転位との結合によることが、分子動力学計算の結果から明らかとなった。