抄録
Bi2WO6(BWO)はビスマス層状構造強誘電体の一つで、斜方晶系mm2に属し、計算による自発分極値Ps=40 microC/cm2を有する。また、1040℃で調和融解するためバルク単結晶化の可能性が示されるが、チョクラルスキー法にて作製した際、冷却過程での相転移(Tc=940℃)通過中に発生するクラックにより良質な単結晶は得られない。我々はこれまで新しいフラックス剤として四ホウ酸リチウムを見出し、Tc以下でのBWO単一分域結晶の作製に成功している。今回、このフラックスを使用しブリッジマン法によりバルク単結晶作製を試みたころ、c軸方向の厚さが4mmもある単一分域結晶が得られた。このことからBWOは新規な非鉛圧電単結晶材料としての展開が期待できる。