抄録
フェライトの焼結において、小粒子中に異常に大きな粒子が発生することがある。これらの粒子はフェライトの磁気特性に悪影響を及ぼす。これまで当研究室では、結晶学的に異方性を持つ六方晶ストロンチウムフェライトの異常粒成長について報告し、空気および窒素雰囲気中での焼結の観点から異常粒成長の発生原因を検討した。異常粒成長は窒素中で顕著に見られ、その際焼結体はFe2+を含んでいた。このことは、酸素欠乏により発生したFe2+が格子内の原子の動きを加速させ異常粒を形成したことを示唆している。しかし、Fe2+の具体的な効果については明らかになっていない。そこで本研究では、新たに酸素雰囲気や様々な酸素分圧下での焼結やFe2+の化学分析を行い、異常粒成長に及ぼすFe2+の効果について検討を行った。