抄録
オステオポンチン (OPN) は骨芽細胞の他, 活性化されたマクロファージ・リンパ球, ある種の腫瘍細胞などから産生分泌される分子量約6万のリン酸化糖蛋白である. 分子中央部に細胞接着ドメインであるアルギニン-グリシン-アスパラギン酸配列, その数アミノ酸カルボキシル末端側にはトロンビンで解離され得る配列が存在する. OPNは細胞接着などの静的な機能に加え, 細胞遊走・癌の転移・血管新生, 誘導型一酸化窒素合成酵素の阻害による一酸化窒素産生の制御, 感染抵抗性, B細胞からの抗体産生増強などの多くの動的機能を有し, トロンビンによる分解や糖鎖の付加, リン酸化などの翻訳後修飾でこれらの機能が調節されている. OPNの遺伝子欠損マウスの解析から, OPNは肉芽腫形成や抗酸菌感染症, 癌の転移に極めて重要な役割を果たすことが明らかになり, 呼吸器領域においても, 最近精力的に研究が進められている. 最近われわれは肺線維症の病態, サルコイドーシスの肺病変の進行, 癌の血管新生などにOPNが関与することを報告し, 呼吸器疾患におけるOPNの役割が注目されている.