抄録
粒径70nmのY2O3安定化正方晶ZrO2ナノセラミックス(nano Y-TZP)の1100℃における圧縮クリープ挙動を16-317MPaの応力域で調べた.nano Y-TZPのクリープでは,歪み速度と応力の間に超塑性金属材料に特有なS字関係が見出された.nano Y-TZPのクリープ変形における支配的な変形メカニズムは,高応力域では粒界すべり(n≈2),低応力域では拡散クリープ(n≈1)であることが,実験結果から示唆された.中間の応力域で観察された高い応力指数(n>3)は,しきい応力に起因するものと考えた.