抄録
本研究では、BaTiO3および誘電デバイスの微小領域・高周波誘電率測定を非接触プローブを用いて行うことを目的とする。既に、プローブの分解能は明らかにされ、微小領域(micro-region)の高周波・誘電率が、さまざまな周波数で測定できる。BaTiO3単結晶は、フローティング・ゾーン(FZ)法により作製し、成長軸であるc軸に対して垂直に切り出した。また誘電デバイスとして、積層セラミックスキャパシタ(MLCC)を用い、誘電体層や電極層に対して垂直に切り出し、両者を鏡面研磨を行い試料とした。測定周波数は8-11GHzとし、微小領域の誘電測定を行う。BaTiO3の誘電緩和は40GHzで生じると報告されているが、MLCCのBaTiO3誘電体層は、主に温度特性を改善するために、純粋なBaTiO3ではない。このため、MLCCの誘電体層の緩和周波数は、本測定周波数領域にあると考えられ、BaTiO3とMLCCの誘電体層の微小領域の誘電率および誘電損失(tand)の比較をすることで、それぞれの特性や、両者の違いを明らかにできると考えている。