抄録
ポリカルボシランなどの高分子を前駆体として、炭化ケイ素を合成できることが知られている。本研究では、炭化ケイ素の微粉末を合成することを目的として、有機溶媒溶液中における析出現象による、ポリカルボシラン微粒子の作製を試みた。ポリカルボシランをノルマルヘキサンに溶解し、この溶液を撹拌したエタノールに少しずつ混合することによって、微細なポリカルボシラン粒子が析出した。これは、エタノール中に分散したポリカルボシラン溶液の液滴中における溶解度がエタノールの浸入により急激に低下し、過飽和状態となって析出したと考えられる。この析出物を乾燥し、不融化処理と焼成処理を施すことにより、炭化ケイ素粉末が得られた。