2019 年 22 巻 6 号 p. 784-791
医療者間のコミュニケーション促進は,集中治療室での医療サービスの質にかかわる重要な要素である。しかし,コミュニケーションを客観的かつ網羅的に測定することは技術的に困難であった。本研究では,医療者に装着したウェアラブルセンサーで4週間にわたり持続的かつ網羅的に収集した行動科学ビッグデータを解析することにより,集中治療室での医療者間のコミュニケーションの活性度とネットワークの実態を研究した。コミュニケーションは加速度計により検出された特異的な身体運動強度でメタデータとして解析し,赤外線センサーで検出された医療者間の対面情報と合わせてネットワーク解析を行った。その結果,看護師のコミュニケーション量がもっとも多く,看護師がコミュニケーションの要となっていることがわかった。また,看護必要度や患者重症度が高いほどコミュニケーション活性度が高かった。