抄録
サファイアのc面研磨によって内部に導入される微細な欠陥および格子ひずみを,4種の研磨条件について断面TEM観察および収束電子線回折法により観察した.その結果,ダイアモンド砥石による研削およびダイアモンド砥粒による研磨では,表面から数100nm程度の転位導入領域が認められた.これに対して,メカノケミカル研磨では転位の導入は認められなかった.しかし,全ての研磨表面近傍には約0.1_から_0.2%程度の格子ひずみが存在していることがCBED計測より明らかとなった.この格子ひずみは,研磨によって導入される転位または酸素欠陥によって形成されたものであると推察された.