抄録
生体材料などの分野で応用されている水酸アパタイトの物理的、化学的性質は、その結晶構造、特にOH_-_イオンと密接に関連している。最近、我々の研究グループではOH_-_イオンに比較的敏感なラマン散乱法により研究を行い、水酸アパタイト中のOH_-_イオンの欠陥に関する有用な知見を得ている。更にはラマン散乱法よりも局所的な構造に敏感な固体プロトン核磁気共鳴 (1H MAS NMR) 法を用いて、熱処理によるOH_-_イオンの挙動と、水素原子周囲の欠陥構造の観察を行ってきた。本研究では、現在報告のないオキシ_-_ハイドロキシアパタイトの格子定数の欠陥濃度依存性を、粉末X線回折データによるリートベルト解析により調べたので報告する。