抄録
熱電変換材料や、透明導電性材料として応用が考えられるAgSbO3薄膜をディップコーティング法により作製した。アンチモンブトキシドおよび酢酸銀を原料、エタノールないし2-メトキシエタノールを溶媒として用いた。作製した溶液をシリカガラス基板に15回ディップコートし、その度に15min自然乾燥または400℃において15min熱処理を施しゲル膜を得た。これを900ないし950℃において焼成して薄膜を得た。得られた薄膜の電気的および光学的性質の評価を行った。得られた膜のXRDによる同定を行ったところ、AgSbO3単相であった。また、熱処理を施した後に950℃で焼成した薄膜の膜厚は、溶媒に2-メトキシエタノールを用いたサンプルで約2.0μm、溶液をエタノールとしたサンプルで約1.0μmの膜が得られた。熱処理温度400℃、焼成条件950℃-0hとして作製したサンプルの900℃における電気伝導度は60 Sm-1だった。また、エタノールを用いたサンプルの可視光透過率の値は2-メトキシエタノールを用いたサンプルよりも高い値をとった。