抄録
酸化タングステンはガス分子の吸脱着によって抵抗が変化するため、ガスセンサへの応用が期待されている。本研究では、タングステン錯体のイソプロパノール溶液を用いてスピンコーティングあるいはインクジェット法により、シリコン基板上に薄膜素子を作製した。硫化水素ガスに対するセンサ特性を評価したところ良好な応答特性を示した。さらに700℃でアニール処理を行うことにより高感度化が達成され、0.5ppmの硫化水素ガスを検知することが可能となった。抵抗値の温度依存性を測定した結果、アニール処理による高感度化はキャリヤ濃度が減少したことに帰因することが明らかとなった。