抄録
二酸化チタンTiO2は、ルチル型、アナターゼ型などが知られており、光触媒、顔料、化粧品等として、幅広い研究が行われている。この中で、ラムスデライト型結晶構造を有するTiO2(R)は、温度変化に伴う結晶構造、電子構造変化について、これまで報告されていない。そこで、本研究ではTiO2(R)粉末試料の結晶構造変化を調べ、吸収スペクトルを測定した。UV-Vis吸収スペクトルからバンド幅を推定した結果、TiO2(R)は約3.34eV、ルチル型TiO2は約3.00eVとなった。また、第一原理計算法により計算した結果、TiO2(R)は2.4eV、ルチル型TiO2は1.8eVとなり、定性的に実験値と良い一致を示した。