抄録
幅広い温度範囲で負の熱膨張性を示すZrW2O8は、一般的にZrO2とWO3を出発原料として合成されているが、その合成に高温で長時間必要とする。マイクロカプセル法は、原料A粉末の表面に原料B粉末をコーティングすることにより、原料粉末の混合状態を制御することができる手法であり、同種類の粉末間の凝集を防止し、異種粉末間の距離を短くすることが可能である。本研究では、マイクロカプセル法によるZrW2O8の単一相合成について検討を行った。また、ZrW2O8の生成メカニズムについて検討するために、Johnson-Mehl-Avrami (JMA) 速度式を用いてZrW2O8生成量の温度依存性、時間依存性を詳細に調べたところ、1175℃以上の温度領域では拡散過程が律速であることが明らかになった。また、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーにZrW2O8粒子を分散した複合材料を作製し、その熱膨張特性を評価した。