抄録
放射線防護やテレビのブラウン管に利用されている鉛ガラスは、有用であるが、鉛という有害元素を含有するため、廃棄時にその処理が問題となる。我々は、鉛ガラスからの鉛の分離回収が従来の高温溶融法ではなく、キレート剤存在下での湿式メカノケミカル法を用いることで室温下でも可能となることを明らかにした。しかしながら、この処理で用いるキレート剤は、高価であり、実用化の際にはコストが問題となる。これを解決するために、処理後に得られる鉛キレート錯体から鉛を分離し、キレート剤をリサイクルする手法を検討した結果、鉛を天然鉱物であるリン酸塩化鉛とすることで、キレート剤の再生が可能であることを明らかにした。