抄録
セラミックスの超塑性変形メカニズムを解明することを目的として,多結晶ジルコニアの繰り返し高温変形試験を行い,各試験前後の同一視野におけるFE−SEM観察を行った.画像解析により,各結晶粒子の位置ベクトルを求め,これらのデータから高温変形試験前後での変位ベクトルを算出した.約800個の変位ベクトル分布図を精査したところ,数十から数百個の粒子がドメインを形成していることが分かった.ただし,これらのドメインはある程度運動すると周囲に拘束されて消滅し,別の場所に,新たなドメインが形成されることが分かった.以上の実験結果から,組み換えドメイン運動という新しい超塑性メカニズムを提案する.