抄録
多結晶Al2O3やTZPといった酸化物セラミックスの高温クリープ特性や超塑性変形挙動は、極微量のカチオン添加によって大幅に変化することが見出された。カチオンの粒界偏析に伴い、粒界近傍の原子間化学結合状態が影響を受け、粒界原子拡散が増減すると共に耐高温クリープ特性や超塑性特性が変化したものと考えられる。これは、粒界ナノ領域の原子構造・化学結合状態が、高温力学特性というマクロな性質に顕著に反映するという極めて興味深い現象である。講演では、セラミックスの高温変形特性と粒界ナノ領域での化学結合状態に関して得られた最新の成果を紹介する。