抄録
近年、バイオシリカの研究では、蛋白質(silicatein)、ペプチッド(silaffin) または長鎖ポリイミンがシリカ構造と形状の形成に深く関わることが明らかとなった。本研究では強い結晶性を持つ線状ポリエチレンイミン(PEI)を用いて、その結晶体を反応場としたシリカ合成を試みた。 PEI と金属イオンとの錯化性質を利用し、金属イオンの存在下でのPEI 結晶を発現させた。PEI 結晶成長は、金属イオンの価数に大きく依存し、一価、二価、三価の価数変化より、PEI 結晶体が粒子、円盤、球状に変化することが確認され、その形をシリカへ転写することで、複雑な構造を有するタービン状、ウニ状シリカの簡便な合成法を見出した。