抄録
ジルコニアは優れた体内安定性及び耐摩耗性を持つことから、これまでに広く人工関節材料として使用されてきた。また、ジルコニアは体積膨張を伴う正方晶から単斜晶への応力誘起相変態によって,高強度・高靭性を有する一方で、水熱環境では温度劣化をともなって機械的強度が著しく低下することが知られている。我々の研究グループではこれまでに顕微ラマン分光分析にピエゾスペクトロスコピック法を適用して、非破壊かつミクロスケールの高空間分解能でジルコニアの体積分率や残留応力を定量的に計測してきた実績を持つ。本研究では、従来の測定手法に偏光ラマン分析法を応用し、亀裂先端付近で発生する応力場を解析し、応力成分の分離を試みた。